ンゴロンゴロではな、クレーターの中にだな、マサイ族や象やライオンやシマウマがいるってよ!
初めてこの言葉を聞いた時のインパクトというのは、なかなかのものがあります!
ンゴロンゴロ
なに、それ?
しりとりで勝つための秘密兵器?
アフリカはタンザニアにある世界遺産、それが「ンゴロンゴロ保全地域」です。
じつはこの世界遺産は、兵庫県ほどの面積がある「ンゴロンゴロ・クレーター」という巨大なクレーターの中にあります!
ンゴロンゴロという言葉は、マサイ語で「大きな穴」を意味しているそうで、まさにクレーターそのもののことを表しているんですね!
巨大クレーターと聞くと、「巨大隕石が衝突した痕か?」と思う人もいるかと思いますが、ンゴロンゴロ・クレーターは、火山爆発によってできた世界で6番目に大きなカルデラとのこと。
標高2400メートルの外輪山に囲まれた内部には、広大なサバンナが広がり、森や湖水やオアシスがあるので、たくさんの鳥類や動物たちが棲み、このクレーター内で一生を終えていくそうです。ひとつの巨大な生態系を作り上げているのですね!
ンゴロンゴロ・クレーターとマサイ族
普通、「保全地域」というと、人の侵入が厳しく制限されていそうに思われますが、ンゴロンゴロ保全地域の中では、マサイ族の人々が普通に暮らしています。
なぜか?
それは、ンゴロンゴロが保全地域に制定された理由を調べるとわかります。
ンゴロンゴロはセレンゲティ平原と隣接し、遊牧民族であるマサイ族は、19世紀頃からこの地に住んで、狩猟・遊牧で生活を営んでいました。セレンゲティとは、マサイ語で「果てしなく広がる平原」を意味していました。
しかし、1951年に、かつてタンザニアを統治していたイギリスが、セレンゲティ平原を「セレンゲティ国立公園」に制定したために、セレンゲティ平原で狩猟・遊牧をしていたマサイ族の生活が脅かされることとなりました。
マサイ族はこれに猛抗議し、それを受けてイギリスは、1959年に「ンゴロンゴロ保全地域」を「セレンゲティ国立公園」から分離し、ンゴロンゴロ・クレーター周辺でのマサイ族の狩猟を許可しました。
つまり、マサイ族の伝統的生活を保障するために設けられたのが、「ンゴロンゴロ保全地域」だったわけです。
「ンゴロンゴロ保全地域」で見られる動物の種類が凄い!
外輪山に囲まれたすり鉢状の地形と、その中にいる動物たちの驚くべき種類の多さのために、それを一目見ようとンゴロンゴロにやって来る旅行者があとをたちません。
何しろ、キリンとインパラ以外の東アフリカに生息する動物がすべているといわれているので、ほとんど巨大な動物園、野生の王国です。
ゾウ、ライオン、ヒョウ、バッファロー、シマウマ、ガゼル、ジャッカル、ハイエナ、ヌー、イボイノシシ、カバ、シロサイなどなど、約2万五千頭の動物たちがいて、また絶滅危惧種に指定されているクロサイも、運が良ければ見られるかもしれません。
クレーター内にあるマカトゥー湖には、フラミンゴの大群が生息しています。草原にはダチョウがおり、アフリカンフォークイーグル、カンムリヅル、ホロホロ鳥、ハタオリドリなど、鳥類も豊富です。
マサイ族を撮影するときは注意!
外輪山をめぐる道路を車で走行して、急な斜面を降りていくと、入り口付近にマサイの村があります。ツァーで訪れる場合は、あらかじめ話を通してあるので大丈夫だそうですが、交渉なしで勝手にマサイ族を写真に撮ると,マサイに怒られるそうです。
クレーターの中へ降りて行くには、朝8時から夕方4時までと時間が決められていて、1グループ6時間以内と規制があります。
サファリ・ツアーで行くと、赤や青の民族衣装をまとったマサイが出迎えてくれ、伝統のマサイ・ジャンプの踊りを見せてくれるそうです。
タンザニアのンゴロンゴロ、一度は行ってみたい魅力のある場所ですね。